「プール飯」って知ってる?──市民プールの定番グルメをもう一度
夏が近づくと、どうしても思い出してしまう味がある。
それは、ラーメンでも、かき氷でもない。いや、正確に言えば、そのどちらでもある。プールサイドで食べる「プール飯」──それは、ただの食事ではない。夏の記憶そのものだ。
学校のプール、市民プール、レジャープール。
どのプールにも、必ずと言っていいほど売店があった。小さな窓口に列をなして、濡れたままの身体で買いに行く。その特別感と、ごほうび感。あの一口が、なんであんなに美味しかったのか、今でも不思議だ。
湯気と氷の二択。定番は「カップラーメン」か「かき氷」
プール飯の二大巨頭といえば、やはり「カップラーメン」と「かき氷」だろう。
温水シャワーを浴びて、タオルで頭をゴシゴシ拭いたあと、友達と並んで食べるカップラーメン。なぜかあのときは、普通のカップ麺が何倍も美味しく感じられた。プラスチックのフォークで食べると、ちょっと特別な味がした。
一方、真夏の直射日光にさらされた体を冷やしてくれる「かき氷」も外せない。ブルーハワイ、イチゴ、メロン。シロップの選択は個性の出るポイントだった。少し溶けた氷がストローを伝って口に入る瞬間のひんやり感。あの甘さに、汗もイライラもすべて流れていった気がした。
プールで食べると、なんでも2割増しで美味しくなる説
「プールで食べると何でもおいしい」という説がある。
正確には“空腹 × 解放感 × 少しの疲労”のかけ算だと思う。普段の学校や家では味わえない“自由の時間”が、その食べ物の味を引き立てていた。
焼きそばやフランクフルト、冷えたきゅうり、チューペット(棒アイス)などもプール飯の定番。親にお小遣いをもらって、自分で選んで買うという行為自体も、子どもにとっては小さな冒険だった。
「水の中で遊ぶ」という非日常の中で食べるからこそ、あの味は記憶に残る。いわば、五感すべてで食べていたのだろう。
令和の「プール飯」はどう変わった?
最近の市民プールや大型レジャープールでも、「プール飯」は健在だ。
ただ、時代の変化とともに少しずつ進化している。
例えば、冷凍フルーツを使ったフラッペや、韓国風ホットドッグ、タピオカドリンクなど、SNS映えを意識したラインナップが増えている。地方のプールでは、地元の名産品を取り入れたメニューが楽しめることもある。
もちろん、昔ながらのカップラーメンや焼きそばも健在で、そこには「変わらない夏」の空気がちゃんと残っている。
プール飯は、“夏休みの味”そのものだ
夏休みにプールに行って、お腹を空かせて、売店で何かを買って食べる。
この一連の流れは、単なる食事ではなく「夏の体験のひとつ」だ。
大人になってからも、プールの売店を見るとつい立ち寄ってしまう。冷房の効いたカフェやレストランでは絶対に味わえない、“ぬるいジュース”や“ふやけた麺”の妙なうまさ。あれは、プールでしか成立しない味覚なのだと思う。
あの味に、もう一度会いに行こう
子どもの頃に食べた、あのプール飯。
大人になってからはすっかり忘れていたけれど、ふとした瞬間に思い出す。カップ麺の匂い、濡れた床、コンクリートの照り返し。あの記憶に、もう一度会いに行ってみない?
今年の夏は、懐かしいプール飯を味わいに、市民プールをのぞいてみよう。昔ながらの売店があるところなら、きっとあの味が待っている。
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